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NTT、開発技術がロスレスオーディオの「MPEG-4 ALS」として国際標準に承認
日本電信電話(NTT)は、同社が開発に取り組み、国際標準化作業を進めてきたロスレス音声圧縮技術がMPEG(Moving Picture Expert Group)の国際標準規格「MPEG-4 ALS」として承認されたと発表した。
「MPEG-4 ALS(Audio Lossless)」は、NTT研究所によるPARCOR係数やマルチチャンネル符号化技術など、NTTが提案した多くの要素技術を中心に、NTTが要求条件や技術公募を企画。独ベルリン工科大学や米RealNetworks、シンガポールのI2Rなどと協力し、性能改善のための技術改善や提案、相互検証、参照ソフトの作成などが進められていた。
その後23カ国による2回の国別投票と改定を経て、ISO/IECの最終国別投票により、「14496-3 3rd ED AMD 2(通称ALS)」として国際標準に承認された。
特徴は完全に元の情報に復号できるロスレス技術でありながら、高圧縮率と、デコード処理の高速化を両立させたこと。通常のパソコンのソフトで符号化する場合、オーディオ信号の再生時間の実時間以上の速度で実行でき、復号では実時間の10倍以上の速度で実行できる。
対応する入力ソースはPCM形式で、サンプリング周波数は最高192kHz、量子化ビット数は32bit、チャンネル数は65,536チャンネルまでサポート。さらにプロ向けオーディオの一部で採用されているIEEE754 32bit浮動小数点形式のデータにも対応する。
今後の展開としては、NTTコミュニケーション科学基礎研究所では引き続き、互換性確認試験手順策定などの標準化のサポートや、標準準拠の符号器の性能向上を図っていくとしている。
また、併せてNTTコミュニケーションズは、標準準拠の実用的ソフトを、業務用の音楽の蓄積、配信の効率化を図るツールとして組み込んだ商用システムの販売を予定。さらにNTTグループとして、業務用オーディオ編集ソフト、一般個人用携帯機器、編集ソフト、音楽以外の医療データや環境データの蓄積用途への展開を見込み、NTTのグループ会社内外との連携や、ライセンス提供も予定しているとしている。
<コメント>
久々に新しい圧縮規格の話題。リリース内では業務向けの用途を見込んでいるようだが、ブロードバンドが進み、高音質音楽配信が登場している現状では、今後登場するかもしれないコンシューマ向けのロスレス配信サービスにも利用できるかもしれない。
関連リンク:NTTの発表リリース
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