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産総研とシャープ、超低消費電力・高速動作を兼ね備えた”RRAM”の開発に成功

産業技術総合研究所(産総研)は、シャープと共同で、低消費電力、高速動作の性能を兼ね備えた不揮発性の抵抗変化メモリー素子(Resistance Random Access Memory : RRAM)の開発に成功したと発表した。

RRAMは、遷移金属酸化膜を金属電極で挟んだ構造で、その酸化膜の電気抵抗変化を記憶情報とするメモリー素子。低消費電力で、大容量データを高速書き換えできる次世代メモリーとして期待されている。

今回開発したRRAMは、タンタル(Ta)電極とコバルト(Co)酸化物からなる極めて単純な金属/酸化物接合を基本構造としており、この接合界面におけるナノメートルスケールでの電気化学反応を定量的に制御することによってメモリー動作の高性能化を実現した。

競合が想定される既存のメモリーであるNOR型フラッシュメモリーと比較して、ビットあたりで1000分の1以下の消費電力にて動作する。

また、このRRAMの作製方法は、既存の半導体製造プロセスとの整合性が高く、これまでのように貴金属電極など高価な部材や特殊な取り扱いを必要とする原料も用いていないことから、開発したRRAMはビットコスト競争力に優れるだけでなく、省エネルギー・省資源も実現する次世代不揮発性メモリー素子となることが期待できるとしている。

今後は、集積回路を用いた信頼性テストを実施するとともに、集積化と大量生産のための技術開発を進め、早期の実用化・事業化を目指すとしている。

<コメント>
フラッシュメモリは大容量化、高速化が進んでいく中で、HDDからの置き換えなど用途も拡がり、今後のコストや消費電力の増大は将来性の面で懸念材料となっていた。今回の研究結果はそうしたフラッシュメモリの将来性に明るい兆しを見せるものと言えるだろう。

関連リンク:産業技術総合研究所の発表リリース

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