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NEC、コンシューマ機器間の超高速通信を実現する次世代インターフェース回路技術を開発

NECは、コンシューマ機器間の通信インターフェースとして、USB2.0で使われるケーブルなど、安価で柔軟性はあるが信号劣化が生じやすい伝送ケーブルを利用しつつ、超高速通信を可能にする回路技術を開発したと発表した。

これまでの通信技術では波形の歪みを完全に補正していたが、これを意図的に一定量の歪みを残した状態で信号を受信。歪み波形の状態を従来の2値ではなく3値で判別する新規入力データ判別回路とこれに用いる判別タイミング信号の生成回路を開発した。これにより、従来の受信信号の電圧制御による波形補正の代わりに受信信号のタイミング制御による波形補正が可能となり、約2倍の動作速度を実現した。

また、入力信号の波形歪みを補正するために、従来の技術では、1つの入力データに対して毎回補正処理を行っていたのに対し、本技術では、4つの入力データごとに1回だけ補正処理を実行。この回路を4つ並列に時間をずらして動作させることで、1つの回路が動作する時間が長くなり、より複雑な補正処理が可能とした。これにより、安価な伝送ケーブルで生じる複雑な波形歪みの補正にも対応可能となり、波形が歪みやすい高速な送受信においても安定した通信を実現できるとしている。

さらに、この技術を用いたLSIを設計し、USB2.0に比較して約1/40のデータ転送時間を実証した。具体的には、2時間のハイビジョン動画コンテンツを、USB2.0を用いて伝送した場合の転送時間は約14分、次世代規格であるUSB3.0を用いた場合は約80秒に対し、今回開発した通信インターフェースを用いた場合、転送時間は約22秒になるとしている。

<コメント>
技術の内容は難しいが、エラー訂正処理の部分新しい手法を採用したり並列化したりして工程を減らすことで効率化しているように読める。安価なケーブルで実現できることが特徴となっているが、課題はやはり規格化の部分だろう。世界市場でビジネスのできる規格に育て上げることを期待したい。

関連リンク:NECの発表リリース

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