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三洋、PCMレコーダ向け音声処理LSIを開発

三洋半導体は、ICレコーダーをはじめとするポータブルオーディオ機器に向けて、ハードワイヤード方式でMP3エンコーダ/デコーダを内蔵し、低消費電力5mAとリニアPCM対応による高音質化を両立した、音声処理LSI「LC823491」を開発したと発表した。

新製品「LC823491」は、新規開発のMP3エンコーダにより、エンコーダ部の消費電力を従来より50%削減(動作周波数が1/2)した。さらに、1.0V動作が可能な低電圧90nmプロセスを採用し、MP3録音/再生時のLSI全体の消費電力は業界最小の約5mWを実現し、従来品に比べて約30%の削減を達成した。これらの低消費電力化により、電池の小型化もしくは長時間電池駆動を実現する。また、ハードワイヤード方式のWMAデコーダも内蔵し、WMAを再生する場合にも低消費電力を実現する。

なお、MP3エンコーダはMP3デコーダ(WMAデコーダ等も含む)との同時動作が可能となっており、録音すると同時に後追いでの再生(いわゆる“追っかけ再生”)に対応している。また、高速で再生することができるため、講義やラジオ番組の録音を継続しながらそのコンテンツを最初からピッチを変えずに早聞きする機能などを実現可能としている。

24bit/96kHzのリニアPCM対応も実現しており、通常、高音質対応時には、演算量の増加や回路規模の大規模化に伴ってLSIの消費電力が増加し、電池駆動時間が短くなるが、24bit/96kHzのリニアPCM対応のために新規開発した 6バンドイコライザ/高域補正回路をはじめ、サンプリングレートコンバータ/サラウンド処理等の主要なオーディオ処理機能を全てハードワイヤード方式で実装し、また90nmの低電圧プロセスを採用した結果、 24bit/96kHzリニアPCM動作時の消費電力は、従来品の16bit/48kHzリニアPCM動作時と比較して、データ処理量としては3倍に増加したにもかかわらず、電力消費は1.5倍程度に抑えている。

「LC823491」は、ICレコーダーの実現に必要な主要機能を1チップに内蔵しており、NOR/NANDフラッシュ等のメモリデバイス、マイク/ADC/DAC等の音声入出力デバイス、LCD等の表示デバイス、及び電源回路を追加すれば、ICレコーダーの基本的な機能が実現できる。

なお、リニアPCM対応のためにはデータバッファ用に最大数百KBのメモリが必要だが、16Mbitもしくは 64MbitのSDRAMをMCPで内蔵しており、外付けメモリなしでリニアPCM機能が実現可能。また、このSDRAMは高音質対応のためにARM9で各種音響効果を施す際のワークメモリとしての用途や、プログラムメモリとして使用することでARM9の高速プログラム実行を実現することも可能。

また、MP3エンコーダが8倍速の高速エンコードも可能なため、ICレコーダー用途以外にも、ミニコンポ等のリッピング装置としても適用が可能で、ATA/ATAPI IFやUSB2.0 Full-Speed Host IFも内蔵している。

2009年12月からサンプル出荷を開始し、サンプル価格は2,000円。月産5万個を計画している。

<コメント>
一般的なオーディオプレーヤーからICレコーダー、PCMレコーダーと重点を移していった三洋電機のグループ会社だけあって、その延長線上の製品が想定できるLSI。そうした機能にあっては、ミニコンポへの適用を想定したインターフェイスを搭載している点は興味深い。

関連リンク:三洋半導体の発表リリース

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