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NECエレ、フルHD映像再生に対応したモバイルAV機器向けシステムLSIを開発

NECエレクトロニクスは、携帯メディアプレーヤーをはじめとするモバイルAV機器分野でHDコンテンツ再生や3Dグラフィックスなどの高機能メディア処理を実現するシステムLSIを「EMMA Mobile/EV(エマモバイル/イーブイ)」の名称で開発し、2010年7月よりサンプル出荷を開始すると発表した。

新製品は、英国ARM社製の高性能CPUコア「Cortex-A9」、映像や音声信号のデコード(伸張処理)を行う高性能AVエンジンなど、マルチメディアデータの再生に必要な機能を1チップに集積した携帯機器向けマルチメディアプロセッサ。内蔵するCortex-A9コアが1個の「EMMA Mobile/EV1」と2個の「EMMA Mobile/EV2」の2品種で構成される。

HDコンテンツをデコード可能なAVエンジンを搭載し、携帯機器でもH.264、MPEG4、VC-1のフルHD(1920×1080画素)ビデオ再生が可能となっている。オーディオではMP3、AAC(HE-AAC)、WMA のデコード、Dolby digital 5.1chのAC-3デコードに対応する。

チップ内をいくつかのブロックに分け、ブロック毎に最適なクロックを供給する自動クロック制御、ブロック毎に電源オン・オフを制御するオンチップ電源スイッチ技術、電源オフからオンへの移行時に処理を継続できるようにするリテンション技術などのさまざまな技術を駆使することにより、マルチメディアデータ再生時の消費電力を従来製品比で約30%削減しており、電池寿命の長時間化に貢献可能としている。

メインメモリとしては、MobileDDRとDDR2の2種類をサポートしており、携帯機器ではMobileDDRを用いてセットの電力を抑え、携帯機器以外では低価格なDDR2を用いることで、部品コストを抑えることができる。

さらに、EMMA Mobile/EV2では、英国イマジネーションテクノロジー社の高性能3D(3次元)グラフィックスコア「POWERVR SGX530」(200MHz)の内蔵により、1秒当たり14.7Mポリゴンの3D性能、500Mピクセル(画素)の性能を実現し、立体的な視覚効果を多用した直感的なユーザインタフェースを表示可能となっている。

サンプル価格は5,000/個で、2010年12月から量産を開始し、2011年には月産100万個の生産を計画している。

<コメント>
携帯メディアプレーヤーでフルHD映像を再生するのはディスプレイサイズからもイメージしにくいが、携帯機器に内蔵するほどのマイクロプロジェクターなどの開発も進んでおり、これらを組み合わせた製品はイメージできるだろう。また、表示画面はどうであれ、携帯メディアプレーヤーに転送する度にファイルを変換する手間が省けるものだとすれば、それもユーザーへのメリットにはなり得るだろう。

関連リンク:NECエレクトロニクスの発表リリース

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