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ソニー、巻き取り可能な有機ELディスプレイを開発

ソニーは、極めて柔軟性が高く、細い棒状に巻き取ることが可能な厚さ80μm、精細度121ppiの4.1型有機TFT駆動フルカラー有機ELディスプレイを開発したと発表した。

独自開発の有機半導体材料(PXX誘導体)を用いて、駆動力を従来比8倍に向上させた有機TFTを新開発。あわせて、20μmの極薄フレキシブル基板上に有機TFTと有機ELを集積化する技術、巻き取りに邪魔になっていた従来の固いICチップの代わりにやわらかい有機TFTでゲートドライバ回路を形成する技術、有機TFTと有機ELの集積回路中の全ての絶縁膜をやわらかい有機材料で構成する技術の開発を行い、これらの技術を組み合わせることで、世界で初めて曲率半径4mmの太さに巻いたり伸ばしたりを繰り返しながらの動画再生が可能な有機ELディスプレイの試作に成功した。

有機半導体材料や有機絶縁膜は、溶媒に溶かすことによるインク化が容易で、塗布・印刷プロセスでディスプレイデバイスの作製を可能にする。また、有機材料を用いた塗布・印刷プロセスは、従来の無機・シリコン系材料で使われていた高温・真空プロセスよりも、より材料使用効率が高く、大気中で少ない工程数でのデバイス形成が可能となる。これにより、デバイス製造の材料消費を抑えると同時に、低エネルギー消費、低環境負荷の実現が期待される。

今後は、さらに塗布・印刷プロセスに重点を置いて研究開発を進める予定としている。

<コメント>
携帯プレーヤーのディスプレイに有機ELディスプレイが使われることも珍しくなくなってきている。今回、巻き取り可能なまで曲面にすることのできるディスプレイが開発されたことで、携帯プレーヤーのデザイン性の向上が期待される。もっとも、デザイン性に凝ったあまり視認性を損なうようでは困るのだが。

関連リンク:ソニーの発表リリース

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