2001/08/17
モバイル放送、Sバンド衛星の開発に着手
 
 モバイル放送株式会社は、2003年度にサービスを開始する予定の移動体端末向けデジタル放送サービスのために、米Space Systems/ Loral社とSバンド衛星の開発に着手する契約を結んだと発表した。

 この計画はハイパワー静止衛星を用い、Sバンド(2.6GHz帯)で全国同報でデジタル放送サービスを行うというもの。パラボラアンテナを不要とし、高速移動中の受信も可能となっている。 データ伝送容量は7.2Mbpsに達し、世界初の個人・携帯向け音声・データ・画像の多チャンネル放送が実現できる。また、携帯電話やPDAと連携することで双方向の総合ブロードバンドネットワークサービスも可能。 さらにMPEG4を使ってSTBに多重受信システムを搭載したタイムシフト機能付きデジタルレコーダーといった利用法も想定されている。

 モバイル放送システムは1999年に電気通信技術審議会で答申された、全系同一周波数、同一伝送方式のシンプルな構成になっており、そのシステム性能は赤坂、府中、芝、銀座、新橋等でのフィ−ルド試験により検証されている。 また、既に受信機用第一世代LSIチップの開発を終わり、同LSIを組込んだ試験用受信端末を使用した評価試験により、次世代LSI開発デ−タの取得を行ない、 今年末からは、更にエリアを拡張したフィ−ルド試験により、商用システム展開前の最終確認を行うとしている。

 モバイル放送は自動車を中心とした移動体を対象に、 高音質の音楽、画像、データを組み合わせたマルチメディア放送を提供することを目的に、1998年5月28日に東芝、トヨタ自動車、富士通、日本テレビ、エフエム東京、ケンウッド、デンソー、アルパイン、凸版印刷の出資で設立された。
 当初は2001年からのサービス開始を予定していたが、自動車を対象とする放送サービスの採算性の問題等から実現が遅れていた。今回、対象を携帯端末/PDA, 車載端末(カ−ナビ/カ−ラジオ/ディスプレイ接続形及び一体型)、携帯電話一体型端末等に拡げることで実現への一歩を踏み出したことになる。 モバイル放送では今秋にも増資を予定しており、 早期サ−ビスインに向けた活動を加速させていくとしている。

<コメント>
一度は頓挫しそうになったプロジェクトがインターネットやブロードバンド、携帯電話やPDAといった新たな市場の広がりにより息を吹き返したという印象。 IMT-2000との親和性も高いということで、7.2Mbpsというデータ伝送容量を活用した新たなサービスが期待される。

関連リンク:モバイル放送の発表リリース
 
 
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