2004/12/17
NTTドコモ、低速移動時における下り1Gbpsの伝送実験に成功
 
 NTTドコモは、第4世代(4G)の携帯電話システムの実現に向けて行なっている研究において、無線局が低速で移動していると想定された環境下で下り1Gbpsの信号伝送実験に成功したと発表した。

 4Gの携帯電話システムは、無線LANと携帯電話のネットワークをシームレスに切り替えたり、どのような環境下でも高速な通信速度を実現したりするという概念だけが定められている状況。

 実際に利用する周波数帯や具体的な標準仕様については、2010年頃の実用化を目指して、国際電気通信連合の無線通信部門(ITU-R)で検討されている。

 NTTドコモでは、通信技術として、さまざまな通信環境へ柔軟に適応できる「VSF-Spread OFDM(可変拡散率-拡散直交周波数・符号分割多重)」方式と、同じ周波数で複数のアンテナから異なる信号を送信する「MIMO(Multiple-Input-Multiple-Output)多重技術」を用いた。

 使用した周波数幅は100MHz幅で、電界強度が低い場所にも関わらず、従来よりも短時間の処理で受信を行うことができた。

 受信する信号のうち、正しく伝えられたものだけを分離する方式には、多くの処理量が必要となる「最尤判定法」と、これに加え同社が独自開発した信号分離法が採用されており、その処理量は従来の1/1,900に削減された。

 また、1Gbpsという通信速度を実現するために必要な電波強度も処理量の小さい信号分離法の1/10程度で済むようにもなったという。

 NTTドコモでは、この室内実験での伝送実験成功を受け、今後は屋外における実験の実施も視野に入れた第4世代移動通信システムの無線アクセス方式の研究開発を引き続き推進し、国際標準化にも貢献していくとしている。

<コメント>
第3世代までは勢いのあった携帯電話業界だが、普及の鈍化と共に次世代の話も聞かなくなっていた。それでも開発が進んでいないわけではなく、途中経過や状況を確認するにはよいタイミングのリリース。

関連リンク:NTTドコモの発表リリース
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