(写真:新500円硬貨(左)とデータプレイメディア(右))
EMD.GR.JPの企業インタビュー企画の第2回は今年登場する新しいメディアとして注目されるDataplay。
 日本データプレイ株式会社企画担当副社長浜岡裕美氏、IS担当マネージャー山本孝志氏にお話を伺った。
 
−まず、会社の概要からお願いします
 
浜岡氏: データプレイの本社はアメリカのコロラドにあります。1998年の11月に設立されたベンチャー企業です。 代表者のSteven Volk氏を始め設立メンバーの多くは光ディスクや磁気ディスクのメーカーでキャリアを積んでいます。現在の規模は資本金$64M、従業員は160名程度です。 その大半が技術スタッフで光ディスクもしくは磁気ディスクの分野で経験を積んできた人たちが集まっています。
 日本データプレイは2000年9月29日に米DataPlay51%、東芝49%の合弁会社として設立されました。現在は7名で運営しています。韓国を除くアジア地域を担当しています
 
−それではデータプレイという新しいメディアについてご説明をお願いします
 
浜岡氏: データプレイのメディアはこの大きさ(編注:上の写真参照、33.53x39.5x3.05mm)で片面250MB、両面500MBの容量を持ちます。
メディアには3種類ありまして、CD-Rのようなマルチセッション対応のライトワンスタイプ、CD-ROMのようなプリマスタータイプ、そして一枚のメディアの中にプリマスターの部分とライトワンスの部分を混在したハイブリットタイプです
 
−記録方式は何になるのでしょうか?
 
浜岡氏: 相変化型光ディスクです。
記録密度や光源波長(編注:650nm)でいえば、DVD-RやDVD-RAMに近いものになります。
相変化技術では記録膜にポイントがあるのですが、データプレイではアメリカのあるメーカーからライセンス供与を受けた技術を採用しています。これは元々米軍の公文書保存用に開発された技術で300年という非常に長時間の耐性を持つとされています。 データプレイではこれを民生用に転換しているわけですが、それでも約100年の耐性を持っています
 
−それではドライブについてお願いします
 
浜岡氏: ドライブ、我々ではエンジンと呼んでいますが、約5cm角に11mm厚(編注:スペックシートでは47.5x52.3x11.0mm)と大変小型に出来ています。 2MBのバッファを持っており、データ転送速度は連続で最大1MB/Sec、バッファからの読み出しは最大20MB/Secになります。 メディアは両面タイプがありますが、ヘッドは一つしかありませんので両面メディアでは一度取り出して裏返してもらう必要があります。
インターフェースは20ピンの独自仕様になっています。また、ファイルシステムも音楽、写真、動画、テキスト、ゲームなど用途の異なるファイルをサポートするために新たに開発しました
 
山本氏: 記録した様々な種類のデジタルコンテンツに対して著作権保護をかけられるのもデータプレイの特徴です。 こうしたデジタルコンテンツのキーをインターネットで配信することも可能になっています
 
−このデータプレイが商品として市場出てくるのはいつ頃の予定になっていますか?
 
浜岡氏: 現在は各メーカーにサンプルを提供している段階です。
量産は2001年Q3を予定しており、データプレイを採用した製品が今年のクリスマス商戦には並ぶと考えています
 
−データプレイ対応製品はどういったものを想定していらっしゃいますか?
 
浜岡氏: 我々ではオーディオプレイヤー、デジタルカメラ、PDA、携帯電話、e-Bookなどを想定しています。 当初はオーディオプレイヤー、デジタルカメラ、PDAといったところから出てくるでしょう
 
−価格はいくらくらいになる見込みでしょうか?
 
浜岡氏: メディアは市場価格で$5から$10、エンジンはOEMで$100程度を想定しています
 
山本氏: 価格は当初どうしても高くなってしまいます。普及に従って量産効果により下がっていくと期待しています
 
−高いと言われましたが、全く新しいメディアにしては意外に安いという印象を受けます。今年度の生産台数目標などはあるのでしょうか?
 
浜岡氏: 生産台数について具体的な数字は言えませんが、中途半端な台数にはしないつもりです
 
山本氏: 生産については委託するパートナーのキャパシティもありますので具体的な数字は難しいですが、やはりある程度のボリュームを揃えて早期に普及させることを考えています
 
−市場に出てくる際にはDataplayブランドの製品というものも出てくるのでしょうか?
 
浜岡氏: メディアについては自社ブランドでの販売も考えていますが、エンジンについてはOEMのみです
 
−OEMメーカーの反応はいかがですか?
 
浜岡氏: みなさん、かなり関心を持っていただいています。
まだお名前を出せないところもありますが、既にパートナーとしていくつかのメーカーさんとは今年のCES(編注:Consumer Electronics Show、1/6〜9、ラスベガスで開催)で一緒にブースを出させてもらいました
 
山本氏: CESでは50を越える様々な製品のプロトタイプを展示しました。
結果、「BEST LIFESTYLE PRODUCT」「BEST MOBILE PRODUCT」そしてブランクメディアカテゴリーで「CES INNOVATIONS 2001」と3つの賞を受けました
 
−データプレイのビジネスとしてはメディアとエンジンのOEM、メディアの自社ブランドでの販売だけでしょうか?
 
浜岡氏: それに加えて我々ではコンテンツキーの配信ビジネスを考えています
 
−それはどういったものですか?
 
山本氏: 先ほど、データプレイには著作権保護の仕組みがあるとお話ししましたが、この保護されたコンテンツを利用するためのキーをインターネットで配信するものです。
例えばオーディオプレイヤーについて言えば音楽CDのようにアルバムを著作権保護をかけて記録したプリマスタータイプのデータプレイを作ることが出来ます。ユーザーはそのままでは聞くことは出来ませんが、インターネット経由で決められた額のお金を払いキーを購入することで聞くことが出来るようになるのです。
コンテンツそのものは既にメディアの中に入っていますから、長い時間かけてダウンロードする必要がなくなります。キーのデータは小さいものですから必要な通信時間はほんのわずかです。
もちろん、コンテンツ側の設定でいくつかの曲は試聴としてそのまま聞いてもらうことが出来るようにもできます
 
−コンテンツとキーの配信を分離させ、またそのコピープロテクトの設定にも自由度があるということですね
 
山本氏: それがデータプレイの特徴です。
オーディオや写真、動画、テキストデータなどを混在させても著作権保護が必要なものとそうでないものをマスタリング時に設定することが出来ます。デジタルカメラ向けにはブランクディスクを用いますが、素材写真を入れておいてもいいですね。
また、メディアの小ささを生かして靴などにおまけとして付けることも出来ます。靴を買ったユーザーがお金の代わりに個人情報を入力することで音楽や写真が楽しめるような仕掛けにすると靴メーカーはユーザー情報を取得するマーケティングツールとして利用することも出来ます
 
浜岡氏: 特に音楽や映像などデジタルコンテンツに関してはCDに代わる著作権保護のかかったメディアとしてデータプレイがレコードショップや書店に並ぶ可能性もあります
 
−そうした新しいメディアがパッケージされると言うことはコンテンツホルダー側とのお話も既にされているのでしょうか?
 
浜岡氏: はい、アメリカ本社の方ですが既に音楽分野とe-Book分野ではコンテンツホルダーと話をしており、データプレイを使ったタイトルが出てくる予定となっています
 
−キーの配信サービスはどのような形で行われるのでしょうか?
 
山本氏: キーの配信サービスはあくまでコンテンツホルダー側が主体となって行います。
ユーザーからすれば購入したものはあくまでレコード会社や出版社の商品ですから、そちらにつながることになります。我々はその裏側、システムを提供するわけです
 
浜岡氏: インターネットを介してのキー配信といっても、PCだけを考えているわけではありません。
例えばキオスク端末を利用すればコンビニやレコード店で購入したデータプレイをその場でお金を払って中のコンテンツをプレーヤーで楽しむことが出来るでしょう。
新しい流通形態と言えると思います
 
−最後にメッセージをお願いします
 
浜岡氏: データプレイは単なる記録メディアにとどまらず、今後のコンシューマーエレクトロニクス分野で広く主役になることを目指していきます。
楽しみにしていて下さい
 
−楽しみですね。本日はありがとうございました。
(写真:データプレイのメディアとエンジン)
 
 
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