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トクヤマなど、高性能直接メタノール型燃料電池用炭化水素系電解質膜を開発

トクヤマと旭化成ケミカルズは、直接メタノール型燃料電池(DMFC)用カチオン型炭化水素系電解質膜の共同開発の成果として、DMFC用電解質膜の性能を大幅に改善することに成功したと発表した。

今回開発に成功した新規電解質膜は、高出力タイプ、低メタノール透過タイプの2種類。高出力タイプは、130mW/cm2以上の出力が可能で、また低メタノール透過タイプは、メタノール透過性をフッ素系電解質膜の1/20にする。

メタノールを利用するDMFCは、携帯電話やノートパソコンなどのモバイル電子機器の電源として小型化や長時間使用が可能となるなど、今後の市場成長が期待されている。

DMFC用電解質膜はフッ素系電解質膜が主流となっているが、メタノール透過性が大きいという欠点があるため、近年炭化水素系電解質膜が多く開発されている。しかし、これらの炭化水素系電解質膜はフッ素系電解質膜に対し、メタノール透過性は1/2~1/10まで達成しているが、さらなる向上が求められており、またDMFCを作製した場合、セル抵抗が高く電池出力が低い。

新たに開発した電解質膜は、膜の複合化技術、電池評価技術、膜解析技術などにより、これらの欠点を大幅に改良することに成功したもの。

高出力タイプでは電解質膜の膜厚を10ミクロン以下とすることにより、現行フッ素系電解質膜の5倍以上のプロトン伝導性を実現した。さらに膜/電極層界面の特殊な制御技術により発電性能でも60℃条件の自社評価DMFCセルで130mW/cm2の出力が可能となった。

低メタノール透過タイプでは電解質膜のミクロ構造制御や改質処理により、30%以上の高濃度メタノール水溶液の使用が可能で、メタノール透過量は現行フッ素系電解質膜の1/20以下を達成している。

これら電解質膜は、高出力タイプで1,000時間以上、低メタノール透過タイプで3,000時間以上の耐久性を確認し、既にDMFC開発メーカー各社へのサンプルワークを共同で開始している。

<コメント>
新しいバッテリー技術としてDMFCは携帯機器への適用も期待されている。採算面や安全面で実用化にはまだ遠い印象のあるDMFCだが、確実に素材技術は進歩している印象。

関連リンク:旭化成ケミカルズの発表リリース

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