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NTT、60GHz帯無線伝送用12mm角小型パラボラアンテナモジュールを開発

日本電信電話(NTT)は、IEEE等で標準化作業が進展している60GHzミリ波帯を用いて光ファイバと同等の10Gbit無線伝送を可能とする12mm角の小型パラボラアンテナモジュールの開発に成功したと発表した。

今回開発した、小型パラボラアンテナモジュールは、NTTの未来ねっと研究所が持つ広帯域/高利得アンテナを集積化したミリ波システムインパッケージ技術と、信号を複数チャネルに分割して伝送する複数チャネル並列伝送技術を用いて10Gbit信号伝送技術を組み合わせることで実現した。

多層LTCC基板を用いて擬似鏡面を多層基板内に形成することで、12mm×12mm×1mmサイズで16dBiのアンテナ利得を実現。12mm角に57GHzから66GHz(60GHz帯)で動作するアンテナ、高周波部を集積化したICを多層基板の表裏に搭載、小型平面型パラボラアンテナを集積化したミリ波システムインパッケージとなっている。また、ミリ波信号の処理をモジュール内で完結するため、取扱いが難しいミリ波信号を気にせずにモジュール実装することが可能となり、実装そのものを簡易にすることができる。

IEEE 802.15.3cで標準化が策定されている無線方式に準拠した方式を見据え、伝送するデータ信号を高周波帯(60GHz帯)の複数チャネルに分割し同時に無線伝送する技術で、今回のミリ波システムインパッケージでは1チャネル当たり2.5Gbitの伝送速度を実現し、4チャネルを並列伝送している。

今後は、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)などの、端末・機器間での超高速データダウンロードや超高精細映像伝送や高速ホームネットワークなどを実現するために求められている、1cc級の携帯端末搭載サイズ無線モジュールの実用化に向けて、一層の小型/高集積化/低消費電力化を進めると共に、端末系の近距離伝送からアドホック無線中継まで幅広く使える10Gbit無線伝送モジュールの開発および、一層の高速無線伝送の実現に向けた研究開発を進めていくとしている。

<コメント>
60GHzミリ波帯を用いた無線通信技術といえば、先日WiGigという規格が発表されたばかりだが、直接の関連はなさそうに見える。それでも、基礎的な部分で整合が取れていれば、適合させることも可能だろうし、事業化するにはそうした規格を無視するわけには行かないだろう。

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