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KDDI研究所、高速赤外線技術を使ったUSB 2.0無線化技術を開発

KDDI研究所は、モバイル機器やパソコンのインターフェースとして世界で最も普及しているUSB (Universal Serial Bus)の高速赤外線通信技術を使ったワイヤレス化に成功したと発表した。

今回、開発した技術ではUSB 2.0の電気信号を赤外線信号に変換し、高速赤外線通信によりワイヤレス化する。

USB 2.0の通信では、送ったデータに対する返答が約1.5μs以内に戻ってこなければならないという規定があり、電気信号と赤外線信号の変換には一般的に1.5μs以上の時間が必要なため、単純に電気信号を赤外線信号に変換するだけでは通信ができない。

そのため、USB-赤外線変換装置に返答信号の発生機能(仮想USBデバイス/ホスト機能)を組み込み、変換装置に応答させることでUSBホスト(USBデバイス)にとっては、あたかも接続相手のUSBデバイス(USBホスト)と通信を行っているように見せかける。この仕組みにより応答時間の制限の課題を解決し、これまでに市販されているモバイル機器やUSB周辺機器のハードウェアとソフトウェアには一切変更を与えずワイヤレス化を実現した。

さらに、USB-赤外線変換装置には通信速度1Gbit/sの高速赤外線通信モジュールを組み込み、高速のワイヤレス通信を行っている。

赤外線通信の高いセキュリティ性により事前の接続認証を必要としない瞬時のワイヤレス接続が可能であるほか、ホットスワップ動作も可能となり、ユーザーは接続したいUSB周辺機器上の赤外線通信インターフェースとモバイル機器の赤外線通信インターフェースを向き合わせるだけでUSB周辺機器が利用できるようになる。

将来的には変換装置を機器に内蔵することを目指し、高速赤外線通信モジュールは一般的な赤外線通信にも利用できるため、このモジュール一つでUSB通信と赤外線通信に対応できるようになるとしている。

なお、関連技術はIrDA(Infrared Data Association)のIrUSB SIG (Special Interest Group)において、標準化作業が進められているとしている。

<コメント>
リリース内ではUSB2.0のワイヤレス化に成功とあるだけで、データ通信の実効速度に言及されていない点が気になる。実効速度が十分に高速であれば、携帯プレーヤーのコンテンツの転送などにも利用できる可能性はある。ただし、高速赤外線モジュールをすでに積んでいる携帯電話はともかく、ほとんど積んでいない携帯プレーヤーにおいては新たに搭載するだけの明確なメリットが必要となるため、急激な普及は見込めないだろう。

関連リリース:KDDI研究所の発表リリース

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