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消費者庁、iTunes株式会社からの回答文書を公開

消費者庁は、音楽情報サイト利用料金の請求に関するトラブルが増えている件について「iTunes Store」を日本で運営するiTunes株式会社に送付していた質問状に対する、同社からの回答を公開した。

「『日本において請求の問題が異常に増えていると認識していない』とする根拠」に対する回答としては、過去6カ月の照会データを調査した結果、不正請求に関わる要請の数が急増しているレベルにはないという判断に至ったとし、この調査対象期間を超えても、顧客から寄せられるクレーム件数の平均は月あたり15~20件で、他の地域と比較しても著しく少ないとしている。

「『利用者より寄せられた懸念』と『継続している』とした『調査』の内容」に対する回答としては、社内に調査チームを有しており、このチームがアカウントの不正使用および不正請求について調査を行っており明らかに不整行為を目的として作られたアカウントについては率先して無効にしているとした。

「トラブルの原因として挙げた3つの要因と考える理由、またその件数」に対する回答としては、これまでの分析の結果、60%の事例は盗まれたクレジットカードで作成された新アカウントによるもの、40%の事例は既存アカウントが不正使用または不正アクセスされたものだとし、不正行為の問題については、大手クレジットカード会社などと討議を重ねており、カード詐欺や既存アカウントの不正使用はiTunesに限って発生しているものではないとしている。

「注意喚起の方法を十分か、また新しいシステムを導入するとしている理由と期待される効果」に対する回答としては、注意喚起をWebサイト上に掲載することを検討しているとしながら、iTunes Store上での不正行為と思われる活動をブロックする新システムを導入予定で、既にこのシステムをiTunesギフトカードの購入プロセスに導入したところ、不正行為の減少が確認できたと説明。システム導入のプロセスは2010年3月31日より開始しており、現在は結果の分析およびルールの構成を行っている段階だとしている。

「不正課金の審査についての手続と結果の連絡方法、また結果として返金手続の把握状況」に対する回答としては、クレジットカード会社に対する返金については、2009年10月~2010年3月の間に生じた、見に覚えの無い請求に関する申し立てについて、返金に関わる請求紛争はすべて受け付けており、詳細な内容については機密事項とした上で、不正課金が発生した取引の割合は取引金額全体の0.1%未満だとしている。

「『顧客満足度は業界最高水準である』としているが、顧客に対する具体的な対応の実状」に対する回答としては、ユーザーがセキュリティについて危惧していることは理解しているとしながらも、単純に苦情に対して返金を行うことは、金融機関からの「二重の返金」への対応策がないため応じられないとし、電話サポートについても「お客様がいかに効果的に問題を解決できるか」という基準で評価するならば「必ずしも最良の方法とは言い切れない」としている。

<コメント>
前回の回答に比べれば、多少なりとも誠意を持って回答しようという態度は見えるものの、できないもしくはやりたくないという部分ははっきり明言している。サービス企業の対応としてはこの辺が限界だろうか、消費者庁がこれに対して追加の質問を出していないことから、これで幕引きとも考えられる。

関連リンク:消費者庁の発表リリース(PDF)

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