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ソニーと東工大、低消費電力・広帯域ミリ波無線用LSIを共同開発
東京工業大学とソニーは、世界最高速6.3 Gb/sのミリ波無線データ伝送を実現する高周波LSIおよびベースバンドLSIを共同開発したと発表した。
開発したのは、60GHz帯を用いる無線通信向けで、ベースバンドLSIなどのデジタル部をソニーが、RF用LSIなどのアナログ部を東京工業大学大学院理工学研究科 電子物理工学専攻 教授の松澤昭氏および准教授の岡田健一氏らの研究グループが、それぞれ担当した。
従来の多くの無線ベースバンドシステムでは、データ伝送速度を上げるために伝送信号の多値度を上げ、それにより起こる信号品質の劣化をリカバーするために誤り訂正符号やパイロットワード等による冗長度を50~250 % 程度付加していたが、今回ソニーが開発した独自構造の高符号率LDPC符号とその回路では誤り訂正符号の冗長度をわずか7%に抑えても復号後誤り率1×10-11までエラーフロアが観測されず、かつ6.3 Gb/s 動作時に74 mWの低消費電力での復号を可能とした。
また、60 GHz帯無線標準規格において規定されている4チャネルすべてにおいて16QAMによる無線データ通信が可能なミリ波ダイレクトコンバージョン無線機を実現している。注入同期型発振器を折り返し型構造にすることで、位相雑音性能を維持しつつ、幅広い周波数に対応することができた。
なお、本研究開発の一部は、総務省委託研究「電波資源拡大のための研究開発」の一環として実施されたものとしている。
<コメント>
ミリ波を使ったGbpsクラスの無線通信技術はこれまでもいくつか発表されていたが、この発表ではモバイル機器を想定して低消費電力を実現していることが特徴。どのくらいの時期に商品かされるかによって、このインフラの上で流通するデジタルコンテンツの内容も変わってくるだろう。
関連リンク:ソニーの発表リリース
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