デバイス間の著作権保護
 
著作権保護とは、誤解を恐れず言えば「コピーをさせない技術」のことです。ソニーが家庭用ビデオテープレコーダーを世に出した際、著作物を一般 消費者がコピーすることについて大きな議論となり、私的複製権という一定の枠組みの中でコピーは認められました。しかし、この権利の前提にはコピー技術がアナログであったことが大きく影響しています。すなわち、当時のビデオテープやオーディオテープなどの複製技術はアナログ技術であったことから質の劣化が避けられなかったのです。よって、権利者の側も一般 消費者がより高品質なパッケージを求めるであろうという論拠において譲歩したと考えられています。

 ところが技術は進み、デジタル時代が到来します。デジタル技術による複製は理論上、質の劣化を起こしません。この技術の最初の製品がMD(Mini Disc)です。この時点で私的複製権について再度議論がなされ、1回のコピーに限って認め、コピーのコピー(いわゆる孫コピー)は認めないと言う仕組みと、機器と記録メディア双方に一定の補償金(※)を課すことで決着を見ました。いわば、事業者側、技術側からの譲歩があったと言えるでしょう。

 さらに時代はPCとインターネットの時代となります。PCのデータ処理の高速化と記憶容量 の増大は音楽用CDを丸ごとデジタルデータとして格納することを可能にしました。加えてインターネットにより、それらのデータを誰もが共有することが可能になりました。これにより、質の劣化のない著作物が無限に複製される状況が生まれたのです。
 PCはMDのようにオーディオ専用の機器ではありませんので一律に著作権料をかけることはできません。勢い、著作権者側にデジタルでの私的複製を一切認めなくしようと言う動きが出始めているのが2000年末の現在の状況です。

 この状況は著作権者にとって収入源を限りなくゼロに近づけるものであり、消費者にとっても収入源のなくなった著作権者が新しい作品を作らなくなることは良いことではありません。そこで、「コピーさせない技術」が求められているのです。

※補償金の料率は機器がカタログ表示価格の65%の2%で上限1,000円、記録メディアは同じくカタログ表示価格の50%の3%
 
技術名 開発会社名 概要
Windows Media Device Manager(Windows Media Rights Manager) Microsoft Windows Media Player7から搭載。WMRMとの相違は詳細不明
Media Divece Manager RioPORT.com PCとデバイスの間でデジタルコンテンツの権利情報のやりとりを行うAPI
Content Protection for Recordable Media Intel、IBM、松下電器産業、東芝 データの暗号化とデバイスの識別を可能にする電子タグを中心にした技術
この技術を採用しているハードウェアからはデジタルでの複製は行えない
OpenMG ソニー チェックイン/アウトを実現している
メモリカードではマジックゲートメモリスティックが対応している
OpenMG Light ソニー モバイル向けにOpenMGモジュールを小型化している
配信側のOpenMG Lightサーバーと共に利用する
InterRights Point InterTrust DigiBoxと呼ばれる著作権保護システムをベースにしている
2001年1月に松下電器と提携、SDカードに採用された
SP3(Secure Portable Player Platform) Liquid Audio PCとデバイスの間でデジタルコンテンツの権利情報のやりとりを行うAPI
Verance Watermark Verance SDMI Phase1で唯一認められた電子透かし技術
当時はARIS Technologyという社名だったが、その後Solana Technology社と合併、現在の社名となる
アプリケーションに搭載され、PC上で著作権保護のかかっていないデジタルオーディオデータにCCIを埋め込む際に使用される
InfoBind NTT、神戸製鋼 メディア固有のIDに基づく暗号化による技術
ID付きスマートメディアを使ったSolidAudioで採用された
【2001年10月20日】BaySide Musicの閉店により終了
 
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